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色を重ねて、秋を映す。


夕暮れが少しずつ早くなり、 髪を揺らす風が心地良くなりはじめると、 気づけばそこに「秋」がいます。 いつものこととわかっているのに、 首元の涼しさがスッと、 さみしさを連れて来るのはなぜでしょう。
けれど、いりあいの頃の空の色。 薄着に冷えはじめた肌を撫でながら眺める、 紺とだいだいがゆっくりと混じり合う様子。
秋には秋の。 秋にしかない美しさを、わたしたちはちゃんと知っています。
今回は、儚く移り変わる季節の美しさを そっと映して閉じ込めるような、 パラスパレスの「オリジナルテキスタイル」が できるまでのお話です。
机いっぱいに広げる大きな絵画のような画用紙。 これはテープで丁寧に留めつなげ、 4枚の紙をひとつに大きな画用紙に見立てたものです。 時には近づき、時には離れて、 そのバランスをよーく見ながら、 水彩絵の具で何時間も描きこみ続け、 この大きな1枚を仕上げました。
晩秋に、細い葉の間から可憐に花をつけるササリンドウの柄。 よくよくこの柄を見てみれば、 上部の終わりと下部の終わりがつながっていることに気づくはず。 それはくるりと紙を巻き込み、 筒状にして、この大きな1枚を描き上げているからです。
「こんなに繋ぎ目を丁寧に描かれているブランドさんは、なかなか無いんですよ」 そう話してくれるのは、このオリジナル生地の制作に欠かせない存在でもある、 FIVE ONEの鈴木雄介さん。 鈴木さんは、デザイナーが描き上げた1枚の画用紙を、 日本全国の工場とつなぎ、相談や調整を重ねながら、 「まさに」という仕上がりの生地へと再現する、 大切な役割を担ってくれています。
「わたしは、あくまで黒子ですから」 が鈴木さんの口ぐせ。 精悍で、ハツラツとした印象を受けますが、 ご自身はあくまで「裏方」であり、
「求められていることを最大限に汲み取り、 ものづくりとものづくりの橋渡しにとなって、良いものづくりを手伝うこと」 が、お仕事なのだと語ってくれました。
絵の具で描かれた大きな原画をデータ化するとき、 「技法上、この再現は難しいので、少し絵柄をずらしましょう」 「版数が多すぎるので、ひとつ色を削って調整しましょう」 とアドバイスをくれるのも鈴木さんです。 それを受けて互いに調整し、 細かな部分を相談しながら、デザインを詰めていきます。 「これだ」というデータがようやく仕上がると、 今度はシルクスクリーンで摺(す)るための「版」を、 製版工場で作ってもらいます。 そしてプリント工場では、まるで浮世絵のように、 色の薄い順に上から上から摺り重ねていきます。
そうしてようやく仕上がるのが、 1枚の原画から始まったオリジナルのテキスタイル。 何人もの人のものづくりが重なって、 この味わい深い絵柄が生まれているのです。
そのディレクションを一手に引き受けてくれている鈴木さんに、 パラスパレスのテキスタイルの難しさについて聞いてみました。
「繊細な水彩画で、色と色の重なりがこの風合いを作っているので、 重なりが微妙にずれるだけでも、印象がずいぶんと変わってしまいます。 版の細かさ、染料の粘度......気遣うところはたくさんあります。 特に“インディゴ”は、摺り終わっても、
味わいや色味を損ねぬよう、 最後の洗い加減までもがとても重要な工程です。 だけど、手描きの原画から始める、 こんなに丁寧なものづくりに携われていることは、 とても貴重で、本当に楽しいことなんですよ」
涼やかさとあたたかさが相まった、 ちょうど秋の夕暮れの空のような美しいテキスタイルが、 今年もいくつもの人の手を渡り、完成しました。
芸術の秋。 繊細な柄に重ねられた、丁寧なものづくりをその身にまとって、 うんと堪能してみませんか。

(文:中前結花)
ササリンドウ柄ワンピース \33,000
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