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秋、小さなキャンバス
少しずつ日差しが和らぎ、空気が澄みはじめる秋です。
昼と夜の時間が徐々に同じ長さになっていき、 なんだか、おだやかな気持ちで過ごせる日が増えていく気がします。 芸術や美しいものに一層惹かれるのも、この季節ならでは。 「芸術の秋」「ものづくりの秋」をめいっぱいたのしみたくなります。
今回は「靴下」という、小さなキャンバスのお話。
パラスパレスの靴下は、そのシーズンにできあがった洋服の柄を 靴下のサイズに落とし込む形で作られています。
もちろん靴下は洋服よりもうんと小さいですから、 改めて絵柄を解釈し直し、限られたキャンバスにぎゅっと詰め込む作業が必要です。 さらに、靴下の製作では表現できる色数も限られていて、 また柄が混み入り過ぎると、靴下の伸びが悪くなってしまうという問題もあります。
そんな制約の中で、どんなふうに表現するか。 そして置いてある姿も、実際に履いてみた姿も、 どちらも魅力的に映るようなデザインとはどんなものか。 デザイナーはいつも、そんなことをぐるぐると頭でめぐらせながら、 靴下のデザインを作り上げるのでした。
デザインが決まったら、靴下を編み上げてくれる メーカーさんに製作をお願いします。 その付き合いは長く、大きな信頼を寄せている靴下づくりのパートナーです。
工場があるのは、奈良県。 あまり知られていませんが、奈良県は日本一の靴下の産地です。 原材料である綿を育てる土壌があり、 また、ハンドルを手回して編み上げる「編み機」を明治に導入して、 農業の副業として、人々が靴下を編んで生計を立てていたのが、 事業のはじまりと言われています。 中でも、その工場がある広陵町は「靴下のまち」とも呼ばれていて、 特に靴下作りが盛んな町なのです。
いつもは1シーズンに3〜4型の靴下づくりをお願いするのですが、 この秋は倍以上の数をお願いしました。 それぞれカラーのバリエーションもありますから、 種類でいえば、20種類以上です。 秋の装いに取り入れて靴下をたのしんでほしいこと、 贈りものにも選んでほしいこと......など、 たくさん作った理由はいくつもありますが、 さらにもうひとつ、この秋から新しい靴の取り扱いがはじまったことも、 その理由と言えるかもしれません。
名前は「KOTOKA」。 厚手ながらやわらかな革でつくられた、
格別な履き心地の美しい靴で、
この靴の生産地も、実は「奈良」なのです。 奈良県は木材や藁の産地でもあったため、下駄やわらじの生産が盛んでした。 そこから履物業が発展して、「履物のまち」とも呼ばれているのです。
この靴の生産地も、実は「奈良」なのです。 奈良県は木材や藁の産地でもあったため、下駄やわらじの生産が盛んでした。 そこから履物業が発展して、「履物のまち」とも呼ばれているのです。
そんな奈良の美しい靴「KOTOKA」と合わせてもらえるような、 奈良の靴下が作りたい。 そういった想いもあって、この秋は靴下をいくつもいくつも用意したのでした。
裏糸の出方にこだわったリブソックス、 履き口がロールしている花柄のソックス、 靴を履いたときに花が顔を覗かせるデザインにこだわったソックス......。 それぞれの形と絵柄で色とりどりの種類をそろえました。
ひとつひとつが、大きな想いを閉じ込めた小さなキャンバスたちです。 秋の装いを彩るアクセントに、
そっと色を添える脇役に、
たまにはとっておきの主役にも。 そんなふうにして、どうか靴下をめいっぱいたのしんでください。 靴下は、パラスパレスの世界観をいちばん小さなサイズで味わえる、 とっておきの作品です。
そっと色を添える脇役に、
たまにはとっておきの主役にも。 そんなふうにして、どうか靴下をめいっぱいたのしんでください。 靴下は、パラスパレスの世界観をいちばん小さなサイズで味わえる、 とっておきの作品です。
(文:中前結花)