「 自由をまとう 」

 立秋とはいえ、まだまだ暑さが残る日々です。
そんな頃、秋の気配を感じるウールストールが登場します。
 今回は、このストールができるまでのお話です。

 これは、株式会社道明と出会い、生まれました。織物の町、東京都八王子市にあるストールの企画会社です。
 はじめに、桝見本とよばれる生地をお願いしました。これは、たて糸とよこ糸の色のかけ合わせを、桝形に織ったものです。たてに7色、よこに30色と1枚の生地に210通りもの色ができます。これを4枚つくり、じつに800色以上が並びました。
 どの色を主役にするか、差し色は何にするか、わくわくしながらデザインを考えていきます。
 色が決まると、織りへ入ります。ふんわり仕上げたいので、ニット用の糸を使いましたが、強度がなく切れてしまいました。そこで、旧式の織機を使い、ゆっくりと織ることで成功しました。
 つぎに、ウールをフェルト化する加工です。繊細な生地を傷つけないように、いちばん気を使います。それは、色によって縮みぐあいが違うからです。そして、秒単位で変わる風合いをコントロールしていきます。
 こうして、ウールの魅力たっぷりのストールができあがりました。サイズがばらばらなのは、糸そのものに風合いをまかせ、矯正していないからです。つまり、決まったサイズがありません。これは、つくり手にとって大変にむずかしいことです。
 担当の方は、自ら「考え」「つくる」ことを大切にしていると教えてくれました。枠にはまらないストールの向こうに、ものつくりへの自由な姿勢がみてとれます。
 秋のよそおいを楽しくする、そんな逸品を、ぜひ、お店でご覧ください。